2.対決!天才アマゾネス蚊トリーヌ

そんなこんなで素手で蚊を潰したくないが駆除はしたい管理,ここでいかに素手で潰さずに撃退するか考えに考えて,激しい修行の日々が始まった。

その修行は想像を絶するもので,このままじゃ某セガールになるんじゃないかというほどに自分をいじめにいじめ,鍛え抜いたのであった。

そして,ついに対蚊用格闘術「蚊殺拳」を編み出すにまでいたったのだ。

それからというもの,殺虫剤の持ち合わせがないときは,蚊殺拳、壱の秘拳「蚊墜撃(かついけん)」が火を噴いた。

ここで説明しよう,壱の秘拳「蚊墜撃」とは,宙を舞う蚊を両手で挟むのではなく,スナップを利かせた片手の平で地へとたたき落とすのである。極めし者はこの一撃で蚊を気絶させ,その間にティッシュで掴んで捨てることが可能といった自分の手で潰さずに済む技なのである。

この技で数々の蚊を葬った管理にもはや敵はないといった状態であった。

しかし,天才は存在する・・・。

壱の秘拳を極めた管理を出し抜くほどの実力者,いや,実力蚊がいたのだ。

奴の名は「蚊トリーヌ」

女だてらに暗殺拳を使う凄腕である。(※蚊は血を吸うのはメスだけである。)

蚊トリーヌは壱の秘拳「蚊墜撃」をひらひらと舞うようにかわし,そのままその腕に針を突き刺したのである。

蚊トリーヌの表情から,「もらった!」と言わんばかりの勝利への確信があふれ出た。

だがしかし,管理も伊達に激しい修行をこなしてきたわけではない。

勝利への確信を持つ蚊トリーヌの期待を裏切り,弐の秘拳「蚊縛陣」を繰り出した。

ここで,弐の秘拳「蚊縛陣」について少し説明をする時間をいただきたい。

壱の秘拳「蚊墜撃」を攻めの技だとすると,弐の秘拳「蚊縛陣」はあえて相手の攻撃を受けたときに発動する受けの技である。

蚊の針が腕に刺さった瞬間に,拳を握り,その腕の筋力を最大限に発揮することにより針を抜けなくするといった鍛え抜かれた肉体でのみ発動することができる奥義なのである。

管理「へへっ,つかまえたぜ・・・」

管理の腕にググッ,と力がこもる。

蚊トリーヌ「ぬ,抜けないだと・・・」

管理「肉を切らせて骨を断つ,ってか?」

蚊トリーヌ「マヌケめ,こんなことをしても吸われる血の量が増えるだけよ」

管理「果たして,そうかな?」

ググッ・・・

管理はより強固に筋肉をかため,蚊トリーヌを拘束する。

蚊トリーヌ「だからそんなことをしても無駄・・・うぐっ,な,なんだと?」

急に蚊トリーヌが苦悶の表情を浮かべる。

蚊トリーヌ「(血流が・・・止まらない?)」

そこで管理はゆっくりと口を開いた。

管理「こういう話を聞いたことはあるか?」

止めることができず溜まっていく血液に動揺する蚊トリーヌが問いかけにこたえる余裕がないのを承知で管理は続ける。

管理「ただのうわさ話かもしれないが・・・」

話しながらも筋力が弱まらないように握った手の疲労を回復するために,指を一本ずつ開いては閉じを繰り返し,指を休める。

管理「どうやら,このまま血を吸い続けると蚊ってぇのは吸い過ぎた血液で膨張し破裂するらしいな。」

管理がニィっと口の端をつり上げ笑った。

蚊トリーヌ「ふん,それまであなたが手を握る力が持つかしら?」

管理の勝ち誇った表情に対抗意識を燃やし,蚊トリーヌも余裕をみせるように笑う。

管理「ここからは」

蚊トリーヌ「根性勝負よ!」

熱い戦いの火蓋が切って落とされた。













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